2016年2月20日土曜日

ACEはじめました

週末は千葉に赴き、家族でゆっくりしています。
タスクはありますが、適度にこなして、自然を満喫しています。

さて、一昨年度よりあるプロジェクトを進めております。OT協会の研究助成も頂きました。誠にありがとうございます。

私は10年以上前から、COPMの遂行度などが、クライエントが思ったより自分は低いなあ、高いなあといったギャップを感じることがありました。臨床に出て、若い職員を見ていると、COPMを取っている時にえらいクライエントの遂行度がこちらが思っているのと違うなあと私が思いますが、若手OTは気づかないことが多くありました。これをどうしたら解決できるのか?

簡便にこのギャップを解決できないかな、と思いました。そこで考えたのが、Assessment of Client's Enablement(ACE)です。


なお、ACEの顔となる表紙の写真はクライエントと作業療法士の協働を表しています。ちなみにこの写真は私の担当したクライエントに撮影していただきました。ありがとうございます。

特定の作業(AMPStask)のギャップの評価には私が認定を持っているA3やACQなどの評価がありますが、クライエントの作業遂行についてより客観的に捉えることに有用であるとともに、それについて詳細に評価する場合には有用です。ACEはより主観的で様々な作業遂行を大雑把に捉えていますが、簡便に捉えることでは有用だと思います。両者は見ているものが違うと考えています。

ACEはCOPMやADOCなどで挙げられたクライエントの作業遂行5つについて、それを現状の心身機能でCOPMなどで設定した状況のもとで、やるかやらないかを評価するものです。評価は20cmの横棒に主観的に線を引くだけです。評価は数分で終了します。


クライエントと作業療法士のギャップを視覚的に示し、協議し、協働を促進するものです。現在、信頼性と妥当性の検証を終え、海外の教授の協力のもと論文を作成している最中です。

プロジェクトメンバーが現在ホームページを作ってくれている最中で、近日中にどなたでも無料でDLできる予定です。また、第3回COT及び札幌学会ではプロジェクトメンバーによる発表が沢山なされます。現在の状況でも多くの可能性を秘めていると感じています。また、私も発表もしますが、来週の鹿児島の第5回OT研究会でACEを詳説したいと思います。

尚、本評価は面接能力が長けている人はやる必要性がありません。クライエントと認識のギャップが生じやすいと思われる人が補助輪的に使用する評価です。詳細は今後の機会に。

昨日は夕日が綺麗でしたが、本日は土砂降りです。雨があるから明日は綺麗に晴れそうです。








2016年2月9日火曜日

一周回ってクライエント中心とは

*今気づいたが、前回の記事にコメントが。。しかし、ブログにコメントを返信できない。北海道の田宮先生すいません〜トラブル解決してコメントしますね〜

新年になり、いろいろ整理しています。毎年忙しくなっていますが、今年は前年以上に病院業務がプライベートを圧迫しており、自分の時間が全然取れません(とは言っても臨床が多いのですが。。。)。そんな中、昨日からカミさんと息子がインフルになり、お休みをいただいて彼女らをコホート隔離し、タミフル予防投与しながら、家事、育児、介護に励んでいます。
限られた時間の中で何をするのかを考え、Facebookなどあまり見ておりません。FBの発信は講演などのお礼、情報発信は原点に帰って、OTに関することをブログで行おうと思っています。

さて、先々週、先週と山梨県と埼玉県の県士会で長時間お話しさせていただきました。クライエント中心の作業療法に目覚めてもう13年ほどになろうとしていますが、一周回って、数年前からクライエント中心にも限界があると思うようになっています。13年中10年は臨床所属なので、結構クライエント中心の実践歴は長い方だと思いますし、結構それなりに一生懸命実践してきたつもりです。

クライエント中心が困難な場合
1.急性期でそれどころじゃないとき
ICUで意思疎通が取れず、医師より作業療法の指示が出ている場合。もちろん文脈を家族から聞いたとしても、生きるか死ぬかの場合はそれどころじゃないですよね。パターナリズムでもしようがない時ですし、家族もそれを望んでいたりします。
これはよく語られていると思います。

2.いわゆる私たちの対象者(クライエント)と明確な意思疎通が取れない(高次脳機能障害や認知症、意識障害など)時

これがあまり語られていないものですし、私自身よく質問を受けます。著名な先生に質問をされているところを何回か見受けたりもします。これまでの経験からの私見について書きます。

 対象者がそのような時には家族や他者をクライエントとして捉えると様々な書籍に書いてありますが、非常に疑問を感じます。なぜなら、臨床で働いている人なら分かるでしょうが、家族はいつも来るわけではない。なんなら、年に一回もこない方もいらっしゃいます。また、音信不通で対象者の方をよく知らないこともあります。そのような状況下でその方たちをクライエントとして捉える一方、OTはその対象者の方と毎日のように作業療法を展開するわけです。
 例えば、意思疎通取れない身寄りのない方が、入院時に役所の職員と一緒にいらっしゃった。COPMを役所の職員に取るって言っても。。家族関係が芳しくない方にCOPMをとって、それを実行しても。。と思います。

 そんな時にはパターナリズムでもいいんじゃないかな?って思います。川モデルのMichal Iwama先生も書かれているように日本は集産主義のところがあります。思慮深く相手を思いやる気持ちがあります。相手の気持ちを察するというものです。何も言わなくても気持ちの良いサービスがあるということも日本の良い文化の一つです。

 家族や周りの人、そして観察からクライエントがどういうことを好んでいるのか?を推察し、クライエントに最良と思われる作業療法を提供する。そっちの方がよっぽどいいサービスを提供できるのでは?って自分の経験からも思います。このことは今はもう廃盤になった?「ケア論の射程」という本の中で、良きパターナリズムとして紹介されていました。

これがクライエント中心だ!っていう方もいらっしゃるかもしれませんが、私はそんなの作業療法士のエゴじゃないかなって思っちゃいます。

だって、クライエント(主として関わる対象者の方)は何も語っていないんですから。Thが良かれと思ってやっているお節介アプローチ?wですからね。TH中心って言葉の問題だけで、誰よりもクライエントを思っていたら結果はついてくるでしょう。言葉の問題だけで、本質が見えなくなるのは本末転倒だと思います。

エビデンスについてもTomoriさんが書いていますね。こちら

なお、そうは言っても私の基本はCL中心ですw。まあ、何事にも限界があるっていうのが私のモットーです。

長文失礼をいたしました。

研究解析したり、お弁当作ったり、いつもと違う朝は清々しいっす。せっかくの機会、家事もタスクも頑張りますw