2014年3月29日土曜日

Startしましたか? 第1回日本臨床作業療法学会回顧

第1回日本臨床作業療法学会が終了しました。
発表された皆さん
参加された皆さん
ありがとうございました!

参加したかったけど満員で参加できなかった皆さん
すいませんでした



会場の演題は作業ばかりで、本当に目を疑いました。
自分が初めて作業について実践しようとした時、そして、それを学ぼうとした時、教えてくれる人もいないし、理論背景を元に実践している人はいなかった。COPMって学会発表しても、見る人もほぼ無く素通りされる。そんな時代だった。

それが、今、このような形になるなんて、全く想像していませんでした。参加したみなさん。応援して下さった方々のおかげです。本当にありがとうございました。




この学会を立ち上げる時、日本全国で頑張っている中堅?OT達が、それぞれ、バラバラでやっている。その力を一つにすれば、何か面白いことが起きるのではないか?と思った。


(写真提供 ryukyuOT)


そして、色んな人が気楽に発表できる、敷居の低い学会、しかし、レベルの高い発表も受け入れられるSD(標準偏差)の広い学会、つまり幅の広い学会ができれば良いなっと思った。
終了時のアンケートに、学会としてもう少しレベルが高い方が良いのでは?といった趣旨のご意見を頂きました。おっしゃる通りです。学会長講演で話をさせて頂いたように、作業療法には科学性がまだまだ足りません。しかし、私は今回はこれで大成功だったと思います。まずは、発表にチャレンジできる場を創ることが今回の目的です。結果として参加者の1/3の方が発表して下さいました。そして、これから徐々に参加者の皆さんの発表のレベルが上がって行くような支援を私達学会がバックアップすべきだと思います。本学会ではそれを達成すべき作業療法士が得意なGradingをして行きたいと思っています。


私の学会長講演では、恐れ多くも日本型作業療法の発信と称して話をさせて頂きました。臨床の話をしてもらいたかったということがありましたが、日本の臨床のために話す内容が多くて、私個人の臨床の話ができませんでした。すいません。そういう話は、そういう場でたっぷりとしたいと思います。
私は、これまでの歴史と海外の理論を踏まえ、核とは既に難解ではなく、日本独自の融合型を目指すべきだという話をしました。歴史の流れはどうしても外せなかったのですが、冗長で会場を退屈させてしまったようなので、もっと素晴らしいプレゼンができるようにならねばと思いました。皆さん温かい目で聞いて下さったので感謝しております。

アンケートの中ではシンポジウムの時間が短すぎたとのお話を頂きました。おっしゃる通りで次回から検討して行きたいと思います。私の講演に対するご意見として、PTのテクニックをOKとすると、境目が曖昧になるままだといったニュアンスのご意見を頂きました。それについて補足したいと思います。

大きく医療の世界で、しかも身体障害や高齢期の作業療法士において、理学療法士や多職種とかぶる部分がゼロになることはあり得ないと私は思っています。ベースには医療や医学があり、勿論作業療法士なので作業学や作業科学も必要でしょう。しかし、医学という根底が一緒であります。これを完全に捨てるのであれば、医学部や医療学部から去って行くということを意味します。
下の図をご覧下さい。PTとOTが全く離れてしまうということは医療の世界ではあり得ないと思います(社会福祉の世界ではあり得る可能性はあると思います)。つまり、この線が離れることはないということです。私は、PTとOTの重なりが少なくともOT部分の方が多くなる方が良いと考えております。それは、単にPTのテクニックを使わないということではなく、時には作業的存在のためにそれを使っても良いのではないか?と思う訳です。勿論作業療法の根本的な本質を表しているのは、OTとPTの重なりが究極に少ない状態だとは思いますが、だからといって、利用することを捨てろというのはどうでしょうか?リスク管理等も含めて必ず必要になって来ます。心疾患を持っている方への作業療法なんて、現在PTしか算定できない訳ですから、心原性脳梗塞のクライエントは作業療法の範疇で無くなる?という極論も出てくるのです。医療の世界ではそういった方のセルフケアも見なくてはならないですよね。



今までの過去を否定するのではなく、過去から学び新しく融合しましょうということです。一種の温故知新です。しかし、これはあくまで私の考えです。私はOBPの人間ですから、OBPを推奨しますが、勿論機能訓練も行います。しかし、大切な作業に必ず結びつける責務があると思っています。そうでなければ(成果を出さなければ)、作業療法士以前にどうなのかと自問自答してしまいます。



私は学会終了後、ずっと勤務で余韻に浸っている暇もなく、今更少し考えているのですが、他の理事はというと、バックグラウンドでもう次の計画の論議をしています(笑)。少し待ってくれよ(笑)





ところで皆さんはもうStartしましたでしょうか?

来年、青い海でお会いしましょう!

2014年3月16日日曜日

今日(昨日)の出来事

今日(昨日)は朝から、高次脳機能障害の家族会主催のデイと懇親会で久しぶりにボランティアに行って来ました。

ボッチャで2回連続味方チームを逆転敗戦させるというミラクルを起こしました(笑)。昼からの懇親会で、それぞれの家族の自己紹介があり、区議会議員の自己紹介があり、ボランティアの自己紹介があり、そして自分は長めに何か話してくれと言われて、ちょっとだけお話ししました。第1声がリハビリ職種の代表として地域で生活する方々にお詫び申し上げました。
数年〜数十年も社会参加から隔離されたり、家族会の存在自体を自分たちが藁をもすがるつもりで調べて作り上げたり。。。病院を出たら知らないのではなく、病院を出た後もフォローするリハビリテーションネットワークが重要です。家族のほとんどがご高齢であり、パワーも無い中、必死で頑張っていらっしゃいます。すごいです。
もう一点は、家族会の中で自分が何もできていなかったことに反省です。動きます。参加できる回数が少なくて、どう動くかを模索していましたが、動かないと始まらないなと思いました。できることはある。

先日、数年ぶりに入院担当を持つことになりました。数年ぶりに自分が創り上げたインテーク面接を行いました。同席したOT(彼女も面接がうまいんですが)に、患者さんを安心させることを忘れていましたと言われました。自分はインテークの際には必ずクライエントとご家族を笑わせます。そして、自分の話もします。慮る(おもんばかる)日本の文化を大切に、相手の不安や辛さを共有し、共に歩む姿勢を前面に出すとともに自分もひけらかす、そういう形で進めて行っています。家族会の方々も不安の中、伴走者もおらず、ようやく家族会へたどり着いたが問題が解決した訳ではないという状況。その中で自分も何かしなくてはいけないと思いました。


そして、そのまま家に帰らずに、駅に自転車を止め、いつもの資料館(図書館)へ参ります。学会長講演の資料のコピーし忘れがあったからです。学会長講演の資料だけで5回お世話になりました(笑)。3月までは非常勤ということで入らせて頂いていますが、4月になると期限が切れるので一般で入らなければなりません(泣)。半期契約なのです。


卒業式前後?でほとんど人がおらず、貸し切りに近い状態だったので、さっさと目的の資料を検索して、何号かをメモり、書庫へ向かおうとした時、そこで、嬉しい出来事が。
医学中央雑誌を調べている人がいまして、誰かと思ったらウチのスタッフ(笑)。臨床OT学会で発表する文献を調べていたようなのです。昨日アドバイスして、早速今日図書館へ来て調べていたようです。これなんですね。自分の手足を汚して調査する。これは本当に嬉しく思いました。自分のコピーをさっさとして、折角図書館まで来たのですから、彼女の文献が無駄にならないようにチェックして、引用の参考ポイントを助言して帰りました。経験上、こういう努力する人は絶対成長すること間違いないです。凄く嬉しく思いました。

「もう帰るんですか?」と言われましたが、研究疑問の調査の時にはかなり時間をかけて検索し、文献をとりますが、そうでない時は必要な文献だけをとりにくるので20分以内で大体終わります。

さて、学会長講演ですが、9割5分完成しました。ほぼ完成です。どれだけ皆様に喜んで頂けるかは心配ですが、いい流れでできているのではないかと思っています。
今回、私の臨床の話は全くしません(興味があれば何かの機会に出席下さい 笑)が、日本の臨床の姿を力強く描きました。それを皆さんと共有したいと思います。

いよいよあと6日で開幕です!

2014年3月12日水曜日

第18回作業療法臨床実践研究会

ご案内です。

第18回作業療法臨床実践研究会のお知らせ。

5月10日(土)に開催されます。


これはずっと前から開催したかった会なんです。
私の養成校の先輩であり、仲間であるお二人に広島からご登壇頂きます。

まず、松原先生ですが、彼女は多才で英語がぺらぺら。本当に色々なことを知っていますし、めちゃくちゃ人が良いです(笑)。そして、日本の学会より海外の学会に良く出かけるという人です。
大学院が一緒で、本当に毎週飲みに行っていたのはもう十年以上前の話です。現在こういう形でお呼びできて幸せの限りです。

彼女にはA-ONEについて話して頂きます。私も研究会の世話人(形だけになっていますが)をさせて頂いています。A-ONEはOTIPMでの利用も推奨される高次脳機能障害の方のADL評価法です。詳しくはこちら
彼女はたった一人で海外に行って、A-ONEの講習会を受けるとともに、日本でやってくれとアイスランドまで直訴しに行ったという強者です。面白い評価方法ですので是非、聞いて下さい。

もう一人は河本先生です。彼は、キチガイです(尊敬の意味をこめて 笑)急性期からOBPをガシガシやっている人ですね。急性期から無理でしょ?と言う人は是非、彼の話を聴いてみると常識が音を立てて崩れ去ります。彼は良く、「急性期にしっかりしたOTやらんと、後のOTが困るでしょ?初めてのOTだから簡単だよ」と言う内容をバリバリの広島弁で話します(笑)。彼の動画はいつ見ても泣けますし、クライエントの心もがっちりでしょうね。私よりもキチガイOTで、素晴らしいOTです。

素晴らしい会になりますので、興味のある方は是非ご参加下さい。申し込みはこちら

2014年3月7日金曜日

死んじゃうかもよ

最近色々タスクが多くて、ブログネタもたくさんあるんですけど、根っからの効率主義者のものですから優先順位を色々考えて、最近ご無沙汰しています。そのなかでもまずはこのネタから。

夜な夜な、再来週に迫った学会長講演のスライドを作っています。大枠の骨組みはできたのですが、スライドはまだ5枚位という。あれあれ。しかし、皆さんと船出を祝うべき講演にしたくこれから頑張ります。

今日は、そんな素晴らしい学会に発売される、通称「事例本」について。

2年以上前のある日、私は本屋さんにいました。そこで、PTの本の多さとOTの本の少なさにびっくりしました。誰か偉い人OTの本一杯書いてくれってブログに書きました(その時のくだらない話はこちら

その2日後に@miyakosobaさんから私と@samuraiさん@ryukyuさんにメールが来て、メールのタイトルは「シンクロニシティ」。ちょうど侍さんといつか本書きたいね〜って言っていたんですよっ、トップダウンの事例の書き方(仮)っていう内容だった。今読み返してみると、めずらしくmiyakosobaさんが長文のメールを送ってきてたなと思う(笑)
それが、2012年1月30日。
本を書いたことはあってもその時はまだ発売されていなかったし、ちょろっとしか書いていなかったので、正直えっとは思ったけど、当時、別にコネがある訳じゃないし、まあいつかの夢だね的な話だった。一方で、Top down式の事例報告のスタイルは既に病院であるていどやっていたし、学校の先生がいらっしゃるたびに、褒めて頂けるし、学校でも取り入れたいと言ってみえるので、そういうことを発信できたら、日本の作業療法の一助じゃなるんじゃないかなと漠然に妄想したのを覚えている。

そこから、Tさんの助けもあり、医学書院さんとコラボさせて頂き、その後の流れがきまったのが半年後。そして、日本の作業療法会の錚々たる先生方にも執筆して頂き、完成を迎えました。それぞれの編集者の知り合いにお願いして、完成にたどり着きましたが、本当に凄いメンバーだなと思いました。ありがとうございます。


医学書院の素敵なラウンジ かっこいいわぁ

ここまで来るのは結構色んなことがあって大変だったけど、振り返ってみれば楽しかったかな。本当に、皆で写真とかレイアウトに編者はこだわりまくって、担当さんを困らせるし(ホントすいません)。miyakosobaさんが的確に指示したり、侍さんと自分であたふたしたり(笑)。そして、琉球さんはオムツはきながら事例本の件でメールしたり(いまオムツですってメールに書いてあった 笑)。人生の中で忘れられないイベントになることは間違いないです。

最後に読み返した時に本当に面白いことが書いてあるなというか、この前出した論文やCOTで引用したい当院のスタッフが一杯いる(笑)。この本が少しでも臨床で悩む、また、医学モデルと作業モデルの狭間で悩んでいる人の一助になれば良いと思います。

むかし、侍さんが講演で「フローレンス・クラークが好きで、この文章読んで死にそうになった」と言ってましたが、事例本の出来上がった姿を一目見たら、編者一同死んでしまうかもね(笑)。それは冗談として、みんな泣くかも(笑)


日本臨床作業療法学会で先行発売です。